2014/07/11

ラッキーピエロ

函館で地域密着型。東京には進出しない。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、「ラッキーピエロ」の王一郎社長。函館で圧倒的な支持を得ているハンバーガーショップ、ラッキーピエロの地域戦略。大手チェーンの真逆を行く戦略。社長の話がとても面白かった。

「ローカル(地域)戦略」「オリジナル(独自性)」「感動」「口コミ」と、カンブリア宮殿ではおなじみの項目がずらり。これらが、大手チェーン店との「差別化戦略」につながる。王社長の口から自然とこれらの言葉が、信念も持った自信とともに語られる。さすが名経営者。函館にはまだ行ったことはないが、行ったときは「ラッキーピエロ」に行こう!こうして、「口コミの輪」が広がっていくのだろう。

全国チェーン展開して、「食うか食われるか」の「弱肉強食、レッドオーシャン」の戦いとは一線を画し、ラッキーピエロのような「地元で愛される、その土地ならではの飲食店」が各地でたくさん育てば、「店、従業員、客、地元」ともどもWin-Winの関係で持続可能なビジネスができる。またこれが、楽しい「食文化、観光」につながる。これからの食ビジネスの目指すべき姿だ。

その土地の「地元」というキーワードを武器にすれば、「お客が頭で食べる時代」に応える「ストーリー」を構築し易い。TwitterやFacebook、Blogといった「ネット」という文化が定着したからこそ、「脱均一」「脱効率化」のメリットが「認知度(ネットの口コミによる)」という形で得られるようになった時代背景がある(従来はTVのCM一辺倒)。それを生かさない手はない。


【王社長の語録】

・全国チェーン店のキーワードは「効率化」。効率的な接客と価格を、お客に提供することが、彼らの強みであり、優れているところ。私達は、そこでは競争をしない。「心に触れる部分」を表現していきたい。

・原価率は50%を超えている(一般は約35%)。売り上げが大きくなるほど、「高い原価率」が許される、と考えている。会社の規模がある程度の大きさになりながら、一つ一つの商品力が少しずつ増してくればいい。そして、「ダントツ地域No.1」になれればいい。

・「地元をもっと豊かにしたい」ので、できるだけ地元の食材を使っている。北海道一円に仲間がいる。理想はオール北海道。地元の農家が命を懸けて育てた作物の命を、そのまま、お客に提供するのが、私達の使命だと思っている。自分の仕事に愛情と誇りを持って、私達も命を懸けて、美味しい料理を提供するぞ、という思い。それは「人間関係」があるからできる。

・私が子供の頃は「食べること」が豊かさの象徴だった。「胃袋」で食べていた。それが高度成長期に入ると「舌」や「目」で食べるようになった。バブルが崩壊してからは、「これは誰がどういうふうに作ったか」と、お客様が「頭」で食べる時代になった。

・私達の店は「地域に役立つ」ためにつくっている。地域の人に愛されない店は、成り立たない。「成長」よりも、地域の人達の愛と幸せを集められるような「もうなきゃ困るよ」という存在になりたい。

・「空間自体」も全国チェーンの均一化に対抗して、全部違う表現にすることによって、お客様が来店動機によって、使い分けられるようにした。

・常連客は「えこひいき」されるべきだ。「超常連客をどうやって作るか」がビジネスで一番大切。

・ラッキーピエロでは、店舗が15あり、兄弟が15人いるというイメージ。大手チェーン店は一卵性双生児が10万人いるというイメージ。兄弟は同じDNAを持っているが、それぞれ顔が違う。共通項も一杯あるが、それぞれが個性を持っていて、地域の特徴にあった役目ができたらいいなと思っている。

・自分の好きなテーマしかやらない。好きだからこそ、それを突き詰めて、深く理解することによって表現できる。流行しているものはやらない。自分の好きなことしかしない。

・仕事をするときには、まず「お客を好きになること」「人を好きになること」が大前提。私達が、お客にいいボールを投げれば、お客からいいボールが返ってくる。お客を愛すれば、お客から愛してもらえる。オーバーではなく「地域の人と長く付き合える存在」になりたい。

・私達はレストランなので「美味しく」なければ話しにならない。1番目は「美味しい」、2番目は「安全」、3番目は「楽しく食べられる」、4番目は「面白い、びっくり」。「普段、味わえないことをラッキーピエロで味わった」と、みんなに教えたくなるようにしたい。

・私達の長期戦略は「お客に感動、感激してもらう」、お客との間に信頼関係を築いて、「口コミ宣伝マン」になってもらい、生涯付き合ってもらいたい。

・現代は、マスマーケティングのように、「一つの表現で、もの凄い数の顧客を獲得する時代」はもう終わったと思う。だから、「小規模な顧客グループに徹底的に楽しんで」もらえればいい。そういうふうに徹底して迫っていけば、少しは本物らしくなる。

(王一郎/ラッキーピエロ社長/カンブリア宮殿

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