2015/08/02

アメリカン・スナイパー

「仲間を守る」ために人を射殺するスナイパー、その数160人で、中には子供や女性も・・。なんて重い命題だ。

iTunesで映画『アメリカン・スナイパー』を観た。クリント・イーストウッド監督作品。ブラッドリー・クーパーが主演。イラク戦争で160人を射殺したアメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル、凄腕狙撃手の半生。満足度★★★★☆。

『アメリカン・スナイパー』American Sniper

クリント・イーストウッド監督の映画のテーマは常に「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)」だそうだ。今回も主人公はPTSDに悩まされる。イラク戦場に4度出征し、妻子の待つ米国本土に帰った後に、平和な日常で発生するPTSD。そして、PTSDが要因となる衝撃のラスト。

日本でもイラクに派遣された自衛隊員の自殺者問題が大きくとりあげられているが、米軍のPTSDは日本人が想像できないぐらいもっと深刻そうな印象を持った。当然ながら。戦争問題は、戦場だけでなく、戦場を離れた後も続く。どんな正当な理由をつけようとも、「人を殺す」という行動は悪因過ぎ、その代償は大きい。

「戦争をするかどうか」を決める国の指導者(背後には軍需産業の企業幹部)は、自分達の手は汚さない。犠牲になるのは、前線に立つ米軍の兵隊であり(米国から見れば)、もっとひどい犠牲者はイラクなど戦場にされた国の一般の人々。このあたりが、クリント・イーストウッド監督が映画をとおして提起したい内容か。クリント・イーストウッド監督は共和党支持者だが、イラク戦争には反対したそうだ。

ちょうど、この夏、日本でSEALDs主催デモにより「反戦ムード」が高まっているだけに、この映画を観るのはタイムリーな気がした。イラク戦争の壮絶な戦闘シーンが描かれているが、実際はもっとひどい事になっているだろう(あまりに生々しくすると一般の人が映画を観なくなってしまい、元も子もないというジレンマがありそう)。現実世界では「きれいな戦争」はないはずだ。この映画が「反戦映画」であり高評価である一方、米国で賛否両論の色々な議論を巻き起こしているらしいが、それこそ「答えがない」問題なので、この映画がきっかけになり、皆が戦争について考えるきっけになったので、その点でこの映画の果たした役割は大きい。政治もだが、とくに戦争問題に関しては、「無関心」が一番いけない。


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スナイパー


予告編『アメリカン・スナイパー』


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