2016/05/22

ファクトリエ

「Made in Jpan」で世界に誇れるブランドを!

「やらないリスク」より「やるリスク」をとれ!

カンブリア宮殿『ファクトリエ』を観た。今回も「とても筋の良いストーリー戦略」だった。「志」「ブランド」「こだわり」「職人」「作り手のストーリー」「作りての価格決定権」「リスクをとる」など、弱者の競争戦略の「あるべき姿」の要素が網羅され、しかもバラバラでなく、つながっている。「一貫性」というやつだ。そして、なにより大事なのは、このシステム(仕組み)を作り上げた山田敏夫氏の手腕。こういう「新たにビジネスモデルを立ち上げる人」が多く出現できるかどうか(=環境づくり)が、日本社会の最優先課題だろう。「出る杭は打たれる」の状態では先行き暗い。

■ファクトリエ


【語録】

熱狂ファン続出で急成長。異色ブランドの秘密公開。メード・イン・ジャパンの底力、工場ブランドで世界に挑む。

創業2012年。社員5人。年商10億円に急成長。

すべてメード・イン・ジャパン。ネット通販専門のブランド。工場直販。現在34の工場と提携。その多くは欧州の高級ブランドに卸す高い技術を持っている。

ファクトリエの商品は「ストーリーを買う」感じ。ホームページには、「職人の顔や製造のこだわり」など、「工場のストーリー」が写真つきで載っている。

衣類の国内生産比率は、現在わずか3%。この危機的状況を何とかしたい、と思いファクトリエを作った。

提携工場が「やる気を出す仕組み」も考えた。商品の価格決定権を工場に渡した。販売価格に対する工場の取り分を50%に増やした。一般的なブランドは20%ほど。工場は売れる価格でいいものを作れば儲かる仕組みだ。

今までは、決められた金額で作って納品すれば終わりだったのが、世の中の人が買う事を意識し始めるので、「どういう縫い方、デザイン、シルエットがいいか」など、色々なことを話始める。それを考え出すというのは、凄く大きい話。

販売価格が決められるので、工場は技術や手間を惜しまなくなり、お客は質の高いものを、リーズナブルな価格で買える。

高級ブランドに比べたら、値段は高くないのに、品質は高い。職人のこだわりも価値あるものとして、ファクトリエはいいと思う。

メード・イン・ジャパンで日本から世界ブランドを作りたい。衣食住における日本製の価値は、日本の文化そのもの。

世界の一流ブランドを作っている工場を厳選している。品質は世界の一流ブランドに負けない。しかし、価格は工場が決めて、直販なのでリーズナブル、というのが特徴。

アパレル国内生産は危機的状況。30年前の1/10なので、ずっと右肩下がりの業界。しかし、歯止めはかけられる。世界の有名なブランドがこぞって日本で作ったりする。なので、仕組みを変えれば、技術が生かされるのを実感している。

私がやったのは、工場側が今まで培った技術を入れて、しかも工場の名前が商品に入るので、全力、全部注いで「いい物を作ろう」と。

工場がブランドを作る一番のメリットは、社内外のモチベーションだと思う。アイデアを出さなかったところが、出せば出すほど、いい物が作れる。技術力もつぎ込めるし、社員のモチベーションも上がる。好循環が生まれた。

グッチの女性社員から「日本には本物のブランドがない」と言われた。ヴィトンもグッチもエルメスも全部、「ものづくりからブランドは生まれる」という考え方。それならば俺が作ると、「職人の技術が生きるブランド」のファクトリエを立ち上げた。

アパレルの産地で、飛び込み訪問で、提携先の工場を探してきた。

「50%しか買い取らない」と決めたときに、工場が初めて、市場に対して、この値段で本当にいいのかと、主体的に考えるようになった。やらされ感ゼロ

「やるリスク」と「やらないリスク」がある。リスクはやることだけをよく言うが、「やらないリスク」は、工場が今と変わらない毎日。従業員が辞めたり、新入社員が入らないとか、色々なリスクをはらんでいる。実は「やるリスク」は計算できる。最近は「半分買い取ってくれてありがとう」と言われる。

(山田敏夫/ファクトリエ/カンブリア宮殿)


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